HOME - ROAD WEAR concept - ROAD WEAR concept 革
遥か200万年前、人類は
この素材を発見した。
そして現代でも優れた
素材として存在し続ける。
ライディングウエアのひとつの究極形であるレーシングレザースーツ作りから、
HYODのモノ作りが始まった。
そのマテリアルであるレザーからウエア作りを学び、技術を育んできた。
大自然からの恵みであるレザーは、
厳しい環境へ人間が立ち向かうために使ってきた歴史あるマテリアルのひとつだ。
HYODで使われるレザーは、牛であれば食肉牛か乳牛で、
その残った皮をなめし加工などを施して革=レザーにしている。
つまり残った皮を捨てずに利用したコトに、人間の英知がある。
わざわざ皮を取るために動物を殺すことは、
ワシントン条約で加工製品でさえ厳しく取り引きが制限されている。
だからこそ大切に使わなければならない。
だから私たちHYODは特別な愛情や敬意や感謝を持ってレザーに接している。
おそらく、これからもそういう思いは変わらない。
“着る物”の進化の中で、レザーの果たしてきた役割はとても大きい。
レザーを使ったウエアを作ることで、新たな命を誕生させることがHYODの使命だ。
レザーというマテリアルも進化を遂げ、単に伝統を守っているだけの旧いモノではない。
この自然からの恵みを仕上げていくには、やはりハンドメイドが最適だ。
レザーは2次元の平面であり、3次元のウエアに仕上げるには、
ミシンとクラフトマンの手という昔ながらの手法しかないともいえる。
特にレーシングレザースーツやROMAN BLACKの場合は、熟練した作業が必須となる。
これは精度や品質を維持していく上でどうしても譲れないことなのだ。
正確にいえば、レザーは1枚1枚微妙に異なり、クラフトマンも一人ひとり個性があるから、
ある一定以上の品質を保ちながら、レザーウエアは1着1着異なり、
それが世界でただ1つの存在になるということだ。
HYODの自社工場“HYOD Origin Works”では、
そんな熟練したクラフトマンたちが日々レザーウエアを作り上げている。
パターンはコンピュータによる3D立体パターン。
ただ膨大なデータから数値を選び入力するのは人間であるし、ミシンをかけるのは人間の手なのだ。
レザーも、それを縫い合わせるハンドメイドも、
ノスタルジックな古臭いものではなく、素材も手法も常にアップデイトしている。
究極のスポーツウエアであるレーシングレザースーツは、
運動性を高めるためにケブラーニットやシャーリング(レザーとゴムを縫い合わせたもの)など、
レザー以外のパーツが増えている。
ケブラーニットの増加は軽量化にもつながっていて、
以前のモデルから比較すると最新型の自重は驚くほどだ。
一方でレザー自体も進化している。
通常の市販モデルは当然牛革なのだけども、
契約ライダー向けのプロトタイプでは軽いカンガルー革や
さらにもっと軽くしなやかな牛革を採用したものもある。
パターンもいろいろあって、レザーのしなやかさを生かし、
より立体的に、より動的に包み込むように工夫している。
もちろんすぐ製品に反映するわけではない……市販化には、それはそれでハードルが高いのだ。
ROMAN BLACKの場合は、レザー選びが命とも言える。
その1つはバロンレザーで、種類はステアレザー(生後3~6ヵ月で食用のため去勢された雄牛で、
2歳以上の成牛皮を加工)だ。
去勢されていない雄牛よりもしなやかで、同時に丈夫なのが特徴だ。
クロム鞣しで加工され、革厚は1.4mmとした。
この革厚はHYODレーシングスーツとほぼ同じだ。
バロンレザーは美しいツヤがあり、製作するとコシとハリがあって、
着たときに伝統的なレザージャケットが持つ美しいスタイルを表現できるのが特徴だ。
一方イフリートレザーは、ホルスタインレザー(文字通り乳牛だ)で、
クロム鞣しだ。革厚は1.2㎜とバロンレザーよりもやや薄い。
仕上げとなる顔料の吹き付けは極薄く、光沢もバロンレザーが100%だとしたら70%半艶仕上げ。
ただし顔料が薄いので、レザー表面の表情(シボ)がそのまま表れ、
レザーの取扱いも繊細さが要求される。
原皮から毛抜きした段階で、シボはわかり、これは1枚1枚異なるので、
この中からROMAN BLACKに使われるものは、
美しい表情を持ち、かつ均一化した物が厳選される希少なものだ。
さらに最終工程でバタ振り作業(レザーをそれこそバタバタと振る工程)も施す。
狙いはこれまでのレザージャケットにない圧倒的なしなやかさ、着心地の軽さ、上品さだ。
ジャケットのスタイルは、優しい上品なラインを見せる。
レザージャケットは重いという概念は、これにはまったく当てはまらないくらい軽い。
レザーの可能性は無限大だ。まだまだ進化し続ける、偉大なる“天然素材”なのだ。