Wind = 風 風と共に生きる

ライダーは風と共に生きる運命にある。
暴風でもそよ風でも、吹いてくる風を身体で感じ、
自ら突き進む走行風も受け止めるしかないのだ。

ROAD WEAR concept
-風-

“風”という文字を使った地名がある。
例えば「風合瀬」だ。「かそせ」と読む。
青森県西津軽郡深浦町。
五能線と国道101号に沿った日本海に面した小さな漁村だ。
アメリカ西海岸にもUSハイウェイ101があるが、
日本のルート・ワン・オー・ワン国道101号は、五能線と捩れた2本の糸のように、
その位置を絶妙に変えながら日本海沿いに
秋田県八郎潟から青森県鰺ヶ沢(あじがさわ)付近まで続いていく。
風合瀬は鰺ヶ沢にほど近い。

-風-

冬、日本海を渡ってくるシベリアからの寒風は厳しいなんてもんじゃない。
この地が最も風が強く、
荒々しく岩場を削り取っていく場所であることを連想させる。
季節が変わると、海は穏やかになる。
この上ない青さを増し、深くドロップオフしていく。
風は頬を優しく撫でて、名物のイカ焼きのいい匂いを運んで来る。

風の地名はまだまだある。
八郎潟を見下ろす寒風山(かんぷうざん)、
筑波山の風返峠(かぜかえしとうげ)、
切り立った断崖で有名な屛風ヶ浦(びょうぶがうら・千葉県)……。
どこも強い風の厳しさから付いた名前ばかりだ。

-風-

風そのものに名前が付くのは実に多い。
例えば花風(はなかぜ)は桜の花を吹き散らしてしまう風のこと。
東風(こち)は春に吹く東寄りの風。
海外でもそれは同じだ。
コナ(Kona)はハワイで吹く南寄りの風で暴風だ。
サンタ・アナ(Santa・Ana)は南カリフォルニアの乾燥した風で、
山林火災を引き起こす要因になってしまっている。
エキゾチックな響きや親しみがあるネーミングであっても、
その名前に相応しい風とは限らない。
人々は、営みの中で見えない空気の移動に生き物のような名前を付けていくのだ。

-風-

そんな季節に吹いてくる風ばかりではなく、
ライダーは自ら進む走行風にも立ち向かわなければならない。
空気は意外と粘性があり、ずしりと重い。
時速100kmは一般的な風速に直すと約27.8m/s。
台風並みの暴風だ。ときには風から身体を守るばかりではなく
風を積極的に利用して身体を冷やすこともある。
エアロダイナミクスとクーリングシステム。
空気の移動と温度の変化を効率良く利用する術を、
人は益々身に付けて行く。
ライダーは風と共に生きていく運命にある。
そのことだけはどんなに技術が進化しても変わらないことなのである。